2011年4月30日

小中学校で放射線基準値を超える (抜粋)

SPIEGEL ONLINE - 2011427

郡山市内では、先週あらたに設けられた放射線基準値、3,8マイクロシーベルト/時を、市内の複数の場所で上回った。子供たちが屋外で遊ぶことができるよう、27日から15の小中学校および13の幼稚園の校庭・園庭の表土除去をはじめる。

 また今になって、3月末に福島第一原子力発電所で働いていた50歳代の女性社員が17.55ミリシーベルトという高い放射線量を被曝(ひばく)していたことが、東京電力の発表により明らかになった。これは、3ヶ月間で5ミリシーベルトという法廷基準値の3倍を超えている。いまのところ、健康に異常は現れていない。
 同社はこの“誤ち”に対し遺憾の意を表し、作業員たちの管理がより厳密でなければならなかったことを認めた。この高被爆については、東京電力が作業員たちの放射線レベルを後から調査したことによってはじめて明らかになった。女性の基準値は、妊娠の際、子供に与える潜在的なリスクを考慮して、男性より低く設定されている。

発ガンリスクの高まる、福島原発の作業員

 さらに2名の女性社員が、基準値を超えて被爆をしている可能性がある。
 共同通信によると、30名の作業員が累計100ミリシーベルを超える被爆をしており、彼らがガンに罹るリスクは高まっている。ドイツの原発労働者に認められているのは、上限、年間20ミリシーベルトの被爆。放射性汚染水が目下の大問題であり、冷却システムの復旧を妨げ、作業員を危険にさらしている。
細野豪志首相補佐官は東京電力を厳しく批判した。「東京電力は非常に保守的なグループであり、変化を好まない」、「東京電力の津波と電源喪失対策が、調査の対象となるだろう」と語った。

2010年、7,400メガワットのソーラーエネルギーを導入(要約)

klimaretter.info  2011426

ドイツで導入された太陽光発電システムが今年の1月から3月の間だけで275千万kWhの電力を生み出した。ドイツソーラー産業協会によると、これは、約785千世帯(3人家族)が1年間に必要とする電力を十分まかなうことができる量であり、前年同四半期比87%の伸びに相当する。2010年、太陽光発電システムはドイツで前例のない成長を遂げた。約249,000箇所の太陽光発電設備が、計7,400MW新たに導入されたのだ。

2010年にもっとも顕著に見られたのは、発電出力(設備容量)30kWまでの自家用の小規模な発電システムの導入で、住宅屋根や納屋、倉庫などに設置された。こうした発電システムは、昨年新たに系統連系された太陽光発電システムの約83%を占め、新たに導入された太陽光発電システムの設備容量の約34%、2,576MWにあたる。
それに対し、はるかに大規模な太陽光発電設備がメクレンブルク-フォアポンメルン州、ブランデンブルク州、ザクセン-アンハルト州などで建設された。中でも最も大きい発電設備は、メクレンブルク-フォアポンメルン州に建設された25.46MWの設備である。累積導入量の州別比較では、業界団体によるとバイエルン州がトップ。
発電全体に占める太陽光発電のシェアは、昨年2%に達した。ドイツ全土では、86万箇所を越える太陽光発電システムに並び、150万箇所に太陽熱利用機器も導入されている。
「ソーラーエネルギーは未来のエネルギーシステムにおいて、重要な役割を果たすでしょう」連邦環境大臣レットゲン氏は言う。彼が後援する“ソーラーウィーク”は、56日から15日まで開催。

2011年4月28日

EnBW社CEO、洋上ウィンドパークに対する支援を要請(抜粋)

SPIEGEL ONLINE - 2011年4月27日

EnBW社、CEOのハンス-ペーター フィリス氏は、彼自身のグリーンな側面を発見したようだ:
“Handelsblatt紙”のインタビューに答え、洋上ウィンドパークのための投資支援を要請するとともに、原発とは距離を置くとした。氏が同社の代表に就任した際には、“私の夢は、原子力発電所を建設することだ”と語っていた。
フィリス氏の頭の中では、目下、驚くべき思考の変化が起きている。かつては強固な原発支持者であったEnBW社トップが、突如として大規模な、再生可能エネルギーの拡大に向けたムードを作っている。
具体的には、洋上ウィンドパークへの投資支援を要求。「原則として、私は原子力エネルギーを確信している。しかし、それが単に橋渡しの技術であることを理解した。社会で受け入れられる余地がもはやないのであれば、我々はその事実に反応しなければならない。」
脱原発を早期に実現するためには、洋上ウィンドパークのような代替エネルギー源に対する投資刺激策がもっと必要だ。「数年の間に振興策を集中させることで多くのプロジェクトがより速やかに着手されることが可能だろう。」4年前、現在のポストに就任した際、彼はまだ、「私の夢は一度一基でも原子力発電所を建設すること」、「核エネルギーは橋渡しの技術ではない、核エネルギーは未来である」と語っていた。
フィリス氏の転換は、バーデン-ビュルテンベルク州で5月12日、緑-赤連立政権が成立する予定であるという事実にもよく適合する。EnBW社株の46.5%は、同州に属している。緑の党クレッチマン氏のもと近々発足する州政府は、フィリス氏との契約延長に際して重要な発言権がある(略)。

http://www.spiegel.de/wirtschaft/unternehmen/0,1518,759182,00.html

ドイツの人々、脱原発加速のために月々10ユーロ払う意向 (要約)

SPIEGEL ONLINE - 2011年4月27日

早期の脱原発は、ドイツ人にとって価値がある。アンケートによると、ほとんど全てのドイツ人が、エネルギーシフトが加速するならより高い電力料金を払う、としている。ロビイストたちは、早急な脱原発によって電気は非常に高くなると、電力料金の高騰への不安をあおっている。例えば産業エネルギー・電力事業連合会(VIK)はそう警告を発している。

ドイツの人々は、そのような不安をあおるシナリオにほとんど動じていない。水曜日に発行された『Stern』(雑誌)のアンケートでは、原発からのエネルギーが混ざっていない電気に、いくら追加料金を払いますか?の問いに、60%が10€までをあげた。さらに、20%は月々30€まで払っても良い、6%は50€まで、1%が100€まで受容できると応えている。

電力料金がこの先数ヶ月数年の間にいかに推移するかは、専門家の間で意見が戦わされている。連邦ネットワーク管理局(BNetzA)のマティアス・クルト代表は、電力料金に与えるモラトリアムの影響は劇的ではないだろう。踏み込んだ試算は、現状では不可能、と話す。エネルギーアナリスト、トビアス フェデリコ氏(エネルギーコンサルタント)は、最終消費者向けの価格は当面は上昇しないだろうと予測。ドイツ産業連合会(BDI)は、連盟が委託したある調査により、エネルギーシフトの追加コストは、ある平均的な家庭にとって年に137€、月に11.42€という。BDIは、国内の産業、特に電力を多く消費し、料金の上昇の影響を受ける産業界を代表している。

ヨーロッパ最大の保険会社Allianz社によるホーエンハイム工科大学との共同研究の報告書では、「いまや、ドイツ市民の多数派が、エネルギーと環境政策の転換を求めて」おり、核エネルギーからの早期脱却についての議論は、環境と気候保全に関して、未来のために適格な方向転換がなされているという確信を、強めている、としている。

http://www.spiegel.de/wirtschaft/soziales/0,1518,759218,00.html

2011年4月27日

10万人が原子力に抗議(要約)

南ドイツ新聞- 2011426 政治面
イースター(復活祭)の連休の間にドイツ全土でまた10万もの人々が原子力利用からの即撤退を求めてデモを行った。主催者側の推定では計12万人。また、約80箇所のイースター行進では、参加者はドイツに未だ保管されている米の核兵器の撤去や、リビアでの平和対話、アフガニスタンのイスラム急進勢力タリバンとの交渉などを求めた。アクションのきっかけとなったのは、特に福島の原発事故とチェルノブイリ事故後25周年である。なかでも大きなアクションはハーメルン近郊のグローンデ原子力発電所の包囲で、主催者発表によれば2万人が集まった。クリュンメル原子力発電所前では17千人が抗議し、グラーフェンラインフェルト原子力発電所付近では警察発表で15千人が集まった。

これまで政府が出しているのは脱原発レトリックに過ぎない、と反原発運動を行う
ausgestrahltは批判する。モラトリウムの後に実際に一体どれだけの原子力発電所が閉鎖されるのかはまだまったくわからない。今回の抗議イベントは、各原発所在地各地でのアクションとしてはここ数十年来で最大規模だったに違いないと主催者は語る。イースター行進全体の結果も上々だったようだ。

核廃棄物の最終貯蔵地として認可がおりているザルツギッター近郊のコンラッド銀鉱山跡地やグライフスヴァルト近郊のルブミン核廃棄物中間貯蔵施設でもこの月曜日に抗議活動があった。次は528日に20都市で反原発運動が計画され、6月の聖霊降臨節にはいくつかの原子力発電所前でブロケードが準備されている。

ドイツの教会も日本の災害を受けて、イースターの復活の喜びが人々を思いやりや支援へと導き、新たな希望を持ち一致団結して暮らすことを呼びかけた。ドイツカトリック教会は、社会や政党、宗教団体の連帯を求めている。これらの連帯は、福島の原発事故や現在進行中の課題を前に今こそ必要だろう。

2011年4月24日

電力の消費者、グリーン電力供給会社に殺到(要約)

SPIEGEL ONLINE - 2011年4月23日

福島の原発事故、脱原発をめぐる議論、宣伝されるエネルギーシフト。
3月半ば以来、グリーン電力への需要が非常に高まっている。すでに数万人の消費者が電力会社を乗り換えた。特に、100%グリーン電力を供給する会社は大幅な顧客増を記録している。そうした消費者の圧倒的多数がインターネット上の比較ポータルサイトでグリーンな電力料金について情報を集めている。従来型の電力会社も、オルタナティブなエネルギーへの関心の高まりを認識している。
 
 ドイツ最大(自称)のグリーン電力供給会社、Lichtblick社は2万件の新規顧客を獲得。これは通常の同時期に比べ3倍も多い。「福島原発事故の後、最初の3週間に特に申込みが殺到しピーク時の数日は新規契約が日に1200件にまで達した。」同社は、52万件を越える一般世帯及び産業用の顧客にグリーン電力を供給している。
 競合他社のNaturstrom社も最初の3週間は週に約1万件、その後は週に5000件の顧客を獲得。Greenpeace Energy社は約6000件の顧客を獲得。総顧客数は10万件を越えている。今も週に約1000件顧客が増えているがこれは通常の同時期の5倍に相当する。
ドイツの巨大エネルギー企業で原発事業者のE.on社も、グリーン電力への関心の高まりを認識した。ただ、グリーン電力の顧客数が全体に占める割合は、1割に満たない。

比較ポータルサイトToptarifでは、電力会社を換える理由がグリーン電力の場合が、以前は40%だったが今では60%を越えた。別のサイトVerivoxでもオルタナティブな電力への需要が3月中旬以降明らかに高まり、電力会社を換えたい顧客の約90%はグリーン電力に関心を持っているという。 
グリーン電力の価格は、非常に差異があり複数の比較サイトが料金の計算シミュレーターを提供している。グリーン電力の料金設定は、古典的な従来の電力会社が提供するサービスに比べ必ずしも高くはない。


2011年4月22日

エネルギーシフトのための倫理委員会「ある種の新産業革命」(要約)

南ドイツ新聞 - 2011年4月21日

原子力から撤退しながらも、電気料金を上げたり、原子力発電による電力を輸入しない。この課題は不可能に思える。元連邦環境大臣クラウス・テプファー率いる倫理委員会が、エネルギーシフトにおいて政府の助けとなるだろう。

連邦政府設置のエネルギーシフトに伴う倫理委員会は、ドイツにおける電力供給の根底からの建て直しについて言及した。会議の最後でテプファーは、国の将来性にとってエネルギーシフトがとりわけ重要であることを強調し、「今我々の目の前に立ちはだかっているのはある種の新産業革命であるという前提でいる」と語った。

「ドイツで原子力エネルギーをやめる」のは大事だが、エネルギーシフトによって国民に電気料金負担をかけてもならない上、雇用や温暖化防止に悪影響を及ぼしてもいけない。倫理委員会は、メルケル首相(CDU)に脱原発までの具体的な年数や時間枠を勧告するのかは明らかにしていないが、「何かしら言及する前提でいて構わない」と見解を回避してはおらず、日付を見るだけでなく「そこまでの道筋を示さなければならない」とテプファーは言う。さらに、ドイツが原子力発電による電力を外国から輸入している現実を受け入れなければならない、と述べると同時に、これからも原子力を続ける国々にドイツが「倫理的な酷評」を科すのだと警告する。ドイツはフランスやチェコの原子力発電からも電力を輸入している。両国および他の隣国はこれまで原子力エネルギーから撤退する意向を表明していない。

ザールラント州のSPD代表のハイコ・マースは、原子力発電による電力のドイツへの輸入禁止を求め、政府がエネルギーコンツェルンとの交渉において契約で取り決めるよう求めている。「徹底して脱原発を進めておきながら、エネルギーコンツェルンが原子力発電による電力を購入してドイツの送電網に送り込むなんてことはありえない」。やむをえなければ再生可能エネルギーによる電力をスカンジナビアなどから購入してもいいだろう。信頼性ある「エネルギーシフト」を可能にするにはそうするしかない。

倫理委員会のメンバーは様々な分野からの17人で構成される。2010年の秋に黒黄政権が国民の抗議を無視して単独で稼働延長を決めた時とは違い、メルケル首相は将来のエネルギー供給について広範囲のコンセンサスを得ようとしている。委員会はその際に政府に助言を与え、社会の議論を求めることでサポートする。遅くとも5月末には政府に報告書を提出し、6月半ばまでには原子力エネルギーからの撤退は法的に導入されることになる。

http://www.sueddeutsche.de/wirtschaft/ehtik-kommission-zur-energiewende-eine-art-neue-industrielle-revolution-1.1087828

日本は子供に対し緩い放射線基準値を決定(抜粋)

SPIEGEL ONLINE - 2011年4月21日

東京の関係当局の取っている措置は議論の余地がある。日本の子供にはいまやドイツの原発労働者と同じ被曝基準が適用されるというのだ。本誌の情報によると、文部科学省は最大許容線量の基準値を決めた。専門家たちは驚愕している。

福島原発事故に関連して、日本の文部科学省は思い切った措置に出ている。同省は、子供達が学校や幼稚園で浴びても構わないとされる最大の放射線量を一時間に3.8マイクロシーベルトと決めた。本誌の情報によると、この量は一年間の値に換算すると、一日に8時間を屋外で過ごすとして、積算約20ミリシーベルトに相当する。これはドイツの原子力発電所の作業員の最大線量に等しい。

「これはあまりにも高すぎる」、独立した専門家としてグリーンピースのために働いているシャウン・バーニー氏は言う。「子供は放射線に対し大人よりはるかに敏感なのです。」オットー・フーク放射線研究所のエドムント・レングフェルダー氏は次のように憤る。「これではガンの発症率の増加をはっきり意識して目をつぶるようなものだ。この基準値によって政府は法的には責任を免れるが道義的にはそうでない。」

年間20ミリシーベルトは国際放射線防護委員会が推奨する事故時の裁量範囲の下方に位置するわけだが、今回初めて日本政府の措置を真に問題視していると、ミュンヘン・ヘルムホルツセンターにある放射線防護研究所所長ペーター・ヤコブ氏はいう。「子供の高い放射線感度を考慮するなら、20 ミリシーベルトという値はできる限り避けるべきである。」

4月6日に危険区域にある学校が再開されることに対し、日本の親たちの多くが抗議をした。グリーンピースは現在、この基準値に抗議する現地の市民団体や環境団体を支援する意向だ。 (以下、略)

http://www.spiegel.de/wissenschaft/mensch/0,1518,758410,00.html

2011年4月21日

「安全なエネルギー供給」のための倫理委員会、脱原発に向けたスケジュールは未決定

SPIEGEL ONLINE - 2011年4月20日 

脱原発に向けた行程表はまだない。3日間の集中討議を経て、倫理委員会は、期日を確定できなかった。環境保護派は、2015年もしくは2017年には脱原発が可能とし、エネルギー業界は2020年を目標としている。倫理委員会には、政界、学識者、経済界、教会などから17名が参加し、原発なしの安全なエネルギー供給について意見を交わしている。

元連邦環境大臣のテプファー倫理委員会委員長によると、“様々な異なる意見があるので、意見が簡単にはまとまらないことは最初から明確だった。しかし、全員が、新しいエネルギー供給システムがドイツで作られる必要がある、という意見である・・・

2011年4月18日

脱原発コストの負担論争

taz - 2011年4月17日

ベルリンで政党と環境団体が脱原発のコストについて議論を繰り広げている。グリーンな電力会社グリーンピースエナジーは、そのコストは大いに見合うものであると言う。
【本文】
ドイツは現在、エネルギーシフトのコストとその負担者について議論している。課題のひとつは、原子力発電所所要者からの燃料税収入が減収となることであり、Spiegel紙の月曜日の報道によると、連邦財務省は燃料税率の引き上げを検討しているという。
2010年秋以降原子力発電事業者は、燃料1グラムにつき、年間145ユーロを課税されていた。現在検討されているのは220ユーロへの引き上げだという。従来通りであれば、2016年までに毎年23億ユーロの税収が見込まれていた。
加えて事業者には2017年までに再生可能エネルギー支援ファンドへの投資参加が義務付けられており、その額は最初に3億ユーロ、以降年間2億ユーロであった。
しかし政府は、この金額について一時保留とした。CDUとFDPは速やかな脱原発のために2015年までに160億ユーロの支出を内部試算したものとみられる。
メルケル首相は消費者の間にコスト論争が広がるのを抑えようとし、ウィークリービデオニュースで、市民は再生可能エネルギー法によって再生可能エネルギー推進をすでに負担していることに言及した。「長いスパンの合計でみれば、負担が増えることはありません」。事実、再生可能エネルギーは国から補助されているのではなく、消費者がキロワット時あたり3.55セントを電気料金に上乗せして支払っているのである。
FDPはしかし、連邦政府が建築物断熱についての支援強化と洋上風力発電への直接支援が検討中であることから、増税には警戒している。
FDP党首のブリギット・ホンブルガーはそれゆえ、予算の縮小を主張する。FDP代表に指名された(?)フィリップ・レーザーも「エネルギー独占と追加課税には反対である」と同調した。
「ドイツの脱工業化?」
SPDと緑の党も、この議論では一枚岩ではない。フランクヴァルター・シュタインマイヤーSPD党首は、「我々は他でもない、重要な工業国である」としてドイツの脱工業化に警告した。加えて原子力は、すぐには再生可能エネルギーで代替できないとした。緑の党党首ユルゲン・トリッティンは脱原発のコストの過大見積もりを指摘した。左派党は社会配慮型(所得に応じた?)電気料金制度を要請した。
ドイツ環境支援は、「利権者から強制されたナンセンスなコスト論争こそが、包括的エネルギーシフトの実現を阻止してきた」と批判した。さらに、新しいエネルギーシステムはこれまで個人投資や特に中小企業により実現されてきており、公的予算によるものではないことを示唆した。
環境に配慮した電力を供給するグリーンピース・エナジー社も、議論に参加する。
「これまでは消費者が石炭や原子力の真のコストをだまされていた」代表のロベルト・ヴェルナーは言う。
環境社会経済研究所はグリーンピース・エナジー社に対し、補助金や気候変動影響による隠されたコストを含めれば、今日すでに風力や水力のほうが経済的であることを報告している。
それによると1キロワット時あたり、風力7.6セント、水力6.5セント、石炭12.1セント、原子力では12.8セントとなる。

http://www.taz.de/1/zukunft/schwerpunkt-anti-akw/artikel/1/die-milliardendebatte/

2011年4月17日

独首相“原発を早く廃止したい”

NHK - 4月16日 4時36分

東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けてエネルギー政策の見直しを進めているドイツのメルケル首相は15日、「原発をできるだけ早く廃止したい」と述べて、原発の稼働期間の延長を柱とした、みずからのエネルギー政策を改める意向を示しました。

ドイツのメルケル首相は、去年秋、国内にある原発17基の運転を平均で12年間延長する方針を決めましたが、福島第一原発の事故を受けて、この決定を3か月間凍結し、原発を含めたエネルギー政策の見直しを行っています。15日には、16すべての州の首相や関係閣僚を集めて、エネルギー政策について協議を行いました。このあとメルケル首相は記者会見し、「われわれはできるだけ早く原発を廃止して再生可能エネルギーに移行したい」と述べ、原発の稼働延長を柱としたみずからの政策を転換する意向を示しました。そのうえで、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの普及に向けた議論を加速させる方針を示しました。

ドイツでは9年前、前の政権のもと、原発の運転を2022年ごろまでに、すべて停止するとした「脱原発法」が制定されたのに対し、メルケル政権は、代替エネルギーの普及が追いついていないなどとして原発の稼働延長に大きくかじを切ったばかりでした。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110416/k10015349981000.html

2011年4月16日

メルケル首相、エネルギーシフトのスケジュールを提示

SPIEGEL ONLINE - 2011年4月15日

政府は、ドイツをグリーン電力の国にする意向だ。6月下旬、エネルギーシフトにスタートをかけることになる新たな原子力法が決定される。このことについて、連邦各州首相とメルケル首相は合意した。

2011年4月13日

グリーンエネルギーをめぐる論争:風を起こすドイツ

SPIEGEL ONLINE - 2011年4月12日

見苦しい新たなエコの世界。ドイツ政府は原発を数千基の風力発電設備に置き換える意向だ、それも、醜い景観と引き換えに。すでに市民はバリケードに向かっている。あらたな大論争がドイツで巻き起ころうとしている。

エネルギーシフトのシナリオ 脱原発はどれくらい早く可能か?(要約)

南ドイツ新聞 - 2011年4月12日

2つの州の州選挙を目前に、連邦政府は3ヶ月の原子力モラトリウムを決めた。この期間、古い7つの原発は停止した状態となる。これを受けて、4大エネルギーコンツェルンは、稼働期間延長の過程で政府が設立した再生可能エネルギー支援ファンドの支払いを取りやめた。エネルギーシフトが必要だという点では各政党は一致している。しかし脱原発はどれくらい早く可能なのか?

2015年というのがグリーンピースと環境問題専門家委員SRU)によるシナリオだ。電力需要の約4分の1をまかなう17の原子力発電所を温暖化対策目標を守りつつ停止できるという。発電の余剰分でまかなえる。迅速な撤退の前提となるのは節電プログラムであるという。既に計画中のものと、供給を保証するために建設可能な発電所の数は、51(うち天然ガスが20、風力が10)あるという。

2017年は連邦環境庁(UBA)と緑の党の目標だ。6月まで停止されている7つの原子炉は停止したままとし、稼働延長は白紙にする。再生可能エネルギーの支援をより強化し、効率を上げるために省エネファンドを設立する。コジェネレーションをより強化し、エネルギー研究プログラムでイノベーションを実現。建物改修への補助金もまた出す。

2020年か遅くとも2023年までというのが、エネルギー・水道事業連合会の見通し。2002年当時の赤緑政権の脱原発に関する決定を支持するという意味だ。ただし、団体会員や電力会社EonRWEはこの立場に反対。

2050
年もしくはできるだけ長くというのが原子力賛成者の目標である。原発をあと約30年は稼働させられはずというのは、発電残量を規定した2000年の原子力コンセンサスが理由だ。原子炉に付与されているよりも少ないキロワットの発電をして予定より早く停止される場合、残る発電残量は別の原子炉に引き渡される。そうなれば停止を2050年まで伸ばすことができ、すでに取り決められたように32年の稼働期間を達成できる。


http://www.sueddeutsche.de/politik/szenarien-fuer-die-energiewende-wie-schnell-ist-der-atomausstieg-moeglich-1.1083963-5

2011年4月9日

原発廃止をめぐって:エネルギー業界団体、原発業界との争いを誘発 (要約)

SPIEGEL ONLINE - 2011年4月8日

脱原発をめぐる論争は、エネルギー業界の統一戦線を破砕した。ドイツの重要な業界団体、エネルギー・水道事業連合会(BDEW)は、原発廃止の意向をはじめて明らかにした。原発業界は腹を立てており、さらにE.onは、BDEWからの脱退も念頭におくとしている。

 ドイツのエネルギー業界で、脱原発をめぐる表立った軋轢が生じている。ドイツの全国エネルギー・水道連盟(BDEW)首脳部の方針転換がその理由だ。連合は、“早急かつ完全な原子力利用からの脱却”を公言した。これは、連盟に属す原発業界の意思に反するものだ。
 連盟によると、連盟首脳部は、可能な限り2020年に、遅くとも2023年にはドイツ国内最後の原発が系統への供給網からはずされるべきであると臨時会合で決めた。とはいえ、この意見は全ての会員を代表するものではない。

ドイツの最大手エネルギー供給会社E.on社は、まず最初の反応として、この連盟の決定に対し距離をおいている。E.on社は、業界団体によって決められた国内の原発廃止に関する具体的な日付の確定は“基本的に間違って”おり、その決定を支持しないと明言した。まず、新たな脱原発期限を設ける前に、新たなドイツのエネルギー戦略が策定されるべきだ。E.on社広報担当は、最新動向のバックグラウンドを確認する中で、E.on社はBDEWへの加盟を続けるか検討する。

原発を稼動させているRWE社もまた、連盟の決定を拒否している。Vattenfall社もこの決議に反対票を投じ、4社目の原発事業者EnBW社は会議に参加していなかった。

BDEW理事会の会長、ミュラー氏は、もちろんそれぞれの企業がこの決定を個別に評価している。それは正当なものであり、しかしこの業界の合意を不確かにするものではない。

2011年4月6日

ジーメンス社、原子力発電を疑問視

SPIEGEL ONLINE - 2011年4月5日

日本の原子力災害のあと、ジーメンス社自身、考えることが不可能であったことが可能になったようだ。南ドイツ新聞によると、原子力業界の中には、原子力エネルギーの未来に対する疑問があり、完全な撤退は可能だという。
 ジーメンス社レッシャー社長は大きな問題を抱えている:再生可能エネルギー事業を増やしつつある一方で、原子力事業を手放すことができなかった。ところが日本の原子力災害がすべてを変えた。ジーメンス社の役員会においても、全ての選択肢について、完全な撤退についても熟考されている。

2011年4月2日

財務省、原子力税引き上げの可能性を示唆

SPIEGEL ONLINE - 2011年4月1日

 原発モラトリウムは、連邦政府に最低でも20億ユーロの費用を必要とする。1年前に計画された核燃料税の引き下げは解決済みである。そして今、税率が上がる可能性がでてきた。
 核燃料税の歳入不足を補うために、財務省は1グラムあたりの核燃料税の税率を上げることを検討する・・・

RWE社 原発「ビブリス」の停止に対し提訴

SPIEGEL ONLINE - 2011年4月1日

エネルギー会社RWEは行動を起こした。ヘッセン州ビブリスにある同社の原発の稼動停止に対し、訴訟を起こす。しかしドイツ最大の電力供給会社であるE.on社は、政府によるモラトリウムに対し法的にアクションを起こすつもりはない。

http://www.spiegel.de/politik/deutschland/0,1518,753813,00.html

2011年4月1日

エコ業界、脱原発ブームに備える

SPIEGEL ONLINE - 31.03.2011

日本で起きた原子力災害によって、多くの国々がエネルギー政策を熟考している。ドイツの環境業界は、十分な儲けを生むと察し、海外に向けた事業拡大体制に入った。風力発電会社には十分なチャンスの到来、ソーラー分野へは厳しい時期が訪れる。