2011年4月18日

脱原発コストの負担論争

taz - 2011年4月17日

ベルリンで政党と環境団体が脱原発のコストについて議論を繰り広げている。グリーンな電力会社グリーンピースエナジーは、そのコストは大いに見合うものであると言う。
【本文】
ドイツは現在、エネルギーシフトのコストとその負担者について議論している。課題のひとつは、原子力発電所所要者からの燃料税収入が減収となることであり、Spiegel紙の月曜日の報道によると、連邦財務省は燃料税率の引き上げを検討しているという。
2010年秋以降原子力発電事業者は、燃料1グラムにつき、年間145ユーロを課税されていた。現在検討されているのは220ユーロへの引き上げだという。従来通りであれば、2016年までに毎年23億ユーロの税収が見込まれていた。
加えて事業者には2017年までに再生可能エネルギー支援ファンドへの投資参加が義務付けられており、その額は最初に3億ユーロ、以降年間2億ユーロであった。
しかし政府は、この金額について一時保留とした。CDUとFDPは速やかな脱原発のために2015年までに160億ユーロの支出を内部試算したものとみられる。
メルケル首相は消費者の間にコスト論争が広がるのを抑えようとし、ウィークリービデオニュースで、市民は再生可能エネルギー法によって再生可能エネルギー推進をすでに負担していることに言及した。「長いスパンの合計でみれば、負担が増えることはありません」。事実、再生可能エネルギーは国から補助されているのではなく、消費者がキロワット時あたり3.55セントを電気料金に上乗せして支払っているのである。
FDPはしかし、連邦政府が建築物断熱についての支援強化と洋上風力発電への直接支援が検討中であることから、増税には警戒している。
FDP党首のブリギット・ホンブルガーはそれゆえ、予算の縮小を主張する。FDP代表に指名された(?)フィリップ・レーザーも「エネルギー独占と追加課税には反対である」と同調した。
「ドイツの脱工業化?」
SPDと緑の党も、この議論では一枚岩ではない。フランクヴァルター・シュタインマイヤーSPD党首は、「我々は他でもない、重要な工業国である」としてドイツの脱工業化に警告した。加えて原子力は、すぐには再生可能エネルギーで代替できないとした。緑の党党首ユルゲン・トリッティンは脱原発のコストの過大見積もりを指摘した。左派党は社会配慮型(所得に応じた?)電気料金制度を要請した。
ドイツ環境支援は、「利権者から強制されたナンセンスなコスト論争こそが、包括的エネルギーシフトの実現を阻止してきた」と批判した。さらに、新しいエネルギーシステムはこれまで個人投資や特に中小企業により実現されてきており、公的予算によるものではないことを示唆した。
環境に配慮した電力を供給するグリーンピース・エナジー社も、議論に参加する。
「これまでは消費者が石炭や原子力の真のコストをだまされていた」代表のロベルト・ヴェルナーは言う。
環境社会経済研究所はグリーンピース・エナジー社に対し、補助金や気候変動影響による隠されたコストを含めれば、今日すでに風力や水力のほうが経済的であることを報告している。
それによると1キロワット時あたり、風力7.6セント、水力6.5セント、石炭12.1セント、原子力では12.8セントとなる。

http://www.taz.de/1/zukunft/schwerpunkt-anti-akw/artikel/1/die-milliardendebatte/