2011年5月11日

倫理委員会、2021年までに脱原発(要約)

南ドイツ新聞 - 2011年5月10日

倫理委員会によればドイツは次の10年で脱原発が可能だという。同委員会の報告書案では、福島原発事故の直後に停止させた7つの原発はそのまま閉鎖し、既に停止中だったクリュンメル原子力発電所も同様に扱うことを勧告。残る9つの原発については10年間での停止を勧めている。最大限努力すればより短期間での脱原発も可能だとする。また、停止させる順番もこれまでの稼働期間ではなく、原子炉の安全性基準に基づいて決めるべきであるという。

いつどのような条件下で原発を早期停止してよいかは、連邦政府軍事観察委員制度をモデルに、エネルギーシフトのための観察委員を議会で任命し、それにより監視するべきであるとする。また、それとは別にエネルギーシフト・ナショナルフォーラムを設けて公開討論を開き、温暖化防止、電力供給安定、経済性の問題を扱うとともに、再生可能エネルギーへの迅速な移行と省資源の取り組みについての提案を行うべきとする。

この早い時点での草案は、関係当局に騒ぎを巻き起こすだろう。倫理委員会は当初、現在原子炉のリスクを調査中の原子炉安全委員会の報告書をまず待ち、それをもとに案をまとめる予定だった。しかし原子炉安全委員会の結果が出るのは来週が見込まれる。それに対し、倫理委員会は5月末に報告書を出す予定だった。この報告書をもとに連邦政府はエネルギーシフトについて決定するつもりだ。

CDU/CSU党内では、抜け穴を残しておくべきという声が増している。急いで脱原発のタイミングを決めるのは「非常に危険であり憶測に過ぎず」、2年ごとに精査するなどの「見直しのためのメカニズムを伴う脱原発のシナリオ」が必要だとする。また、野心的な計画期間を鑑みて、予測不能な理由から行き詰まる場合に備え、政府は代替案も用意するべきだとしている。そうなれば、石炭の場合と同じようだ。石炭採掘への補助金は本来2012年に再度精査される予定だった。だがEUの意向でこの条項は削除された。CDU/CSUにとっては、そのような見直しの条項は、納得でき兼ねる経済担当者を取り込むための考えうる妥協策なのだ。

http://www.sueddeutsche.de/politik/bericht-der-ethikkommission-atomausstieg-moeglich-bis-1.1095728